コラム
【歯科矯正】翼状捻転（よくじょうねんてん）とは？
「翼状捻転（よくじょうねんてん）」という言葉は、歯が「翼（羽）のように外側へ捻れている」状態を表します。特に上顎の前歯が時計回り・反時計回りにねじれてしまい、笑ったときや話すときに目立つ症状です。
- 見た目の特徴：歯の中心がずれて、飛び出したり引っ込んだりしているように見えます。
- かみ合わせへの影響：前歯本来の咬合を妨げ、安定した咬む力が発揮できなくなります。
- 機能的な問題：発音（サ行・シャ行など）がしにくくなる、舌や唇の動きに影響します。
- 清掃や歯周への悪影響：捻っているため歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
2．なぜ起こる？――翼状捻転の原因とはどんなことが？
1. スペースの不足
永久歯が生える際に顎の大きさが小さくスペースが足りず、歯がスペースを探してねじれるように生えてくるケースが多いです。
2. 顎と歯の大きさの不調和
歯が大きい・顎が小さいなどの不均衡によって、歯が並びきれなくなり捻転が生じます。
3. 遺伝的要因
両親や家族に捻れ歯がある場合、遺伝的に同じ傾向が表れることがあります。
4. 口腔習癖
指しゃぶりや舌を前に突き出す癖（舌突出癖）は、歯に不自然な圧力をかけ、捻転を促進させます。
5. 永久歯の萌出異常
本来、前に向くべき永久歯が生える方向を誤ると、正常なアラインメントを妨げてしまいます。
3．検査プロセス――専門医に評価してもらうなら
実際の治療を始める前に、矯正歯科で以下のような検査を行います：
- 口腔内視診：歯並び、捻転の角度、咬合状態などの目視チェック
- 模型分析：歯型を取って詳細な位置関係を確認
- パノラマ・セファログラム：骨格の状態や歯の根の位置をレントゲンで確認
- 咬合機能の評価：咬合圧、発音の影響、顎の動きなどを検査
これらの総合評価により、軽度か重度か、治療の範囲（部分矯正／全体矯正）が確定します。
4．前歯だけでできる？部分矯正の可能性なの？
翼状捻転に対して、前歯のみの部分矯正（パート矯正）は選択肢として有効です。以下はその条件とメリット・注意点。
✅ 部分矯正で対応しやすいケース
- 捻転が軽度（目安は10度以内程度）
- スペースにやや余裕がある
- 奥歯のかみ合わせが安定している
- 骨格的なズレがない
部分矯正のメリット
- 治療期間が短く（3～6ヶ月程度）
- 費用も抑えやすい
- 前歯の見た目を早く改善できる
⚠ 注意点：こんなケースでは難しい
- 捻転が強く、10度以上ある
- 歯列全体にずれがある
- 骨格的な噛み合わせ不正や顎変形を伴う
- 奥歯のかみ合わせにも問題があり、全体的なバランスが不安定
5．治療方法
A. 部分矯正（前歯ワイヤー or マウスピース）
- ワイヤー矯正：ブラケットとワイヤーを歯に装着し、じわじわと捻転を戻す
- マウスピース矯正（インビザライン併用含む）：複数の透明トレーで歯を徐々に移動
- ※部分矯正の場合は、歯科医による症例適応判断が必要です
B. 全体矯正（フルマウスワイヤー/マウスピース）
- 全顎的に歯並びを整え、咬合バランスも整える
- 長期的・包括的な改善が期待でき、安定性も高い
- 治療期間は通常1〜3年程度
6．治療の流れと期間の目安
| ステップ | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 初診・検査 | 写真撮影、模型、レントゲン、診断 | 1 |
| 治療計画 | 患者さんの希望と相談、計画の提示 | 1～2週間 |
| 部分矯正開始 | ワイヤー装着 or マウスピース装着 | 6～8ヶ月 |
| 調整・確認 | 数週間おきにずれの程度をチェック | – |
| 保定・メンテ | リテーナー使用、歯並びの安定確認 | 6ヶ月以上 |
※重度の場合、全体矯正では歯を動かす段階が2〜3年、保定期間も追加で1〜2年要します。
7．費用の目安
- 部分矯正：15万～50万円程度
- 全体矯正：70万〜150万円前後（使用装置や医院により変動）
※保険適用外の自由診療になるため、医院ごとに金額は大きく異なります。
8．セルフチェック：あなたの翼状捻転度は？
- 前歯が左右にずれて見える
- 歯と歯の間に隙間または重なりがある
- 発音で「さ・た・つ」がはっきり言えない
- 歯磨きで歯ブラシが届きにくい
- 歯がまっすぐではなく「ねじれて」見える
該当する方は、軽度でも専門の受診をおすすめします。
9．治療を始める前に聞くべきポイントはここ
- 抜歯の必要性はあるか？ 部分矯正なら通常、抜歯はないことが多いです
- 保定装置はあるか？ 終了後はリテーナー（透明のマウスピース）が不可欠です
10．まとめ
- 翼状捻転とは？ 前歯が外側にねじれて飛び出したような歯並びで、見た目・咬合・発音・メンテナンスに影響。
- 軽度なら部分矯正が◎ 短期間・低コストで修正可能。
- 重度・全体の不正がある場合 は全体矯正が必要。補綴治療で見た目だけ整える選択肢もあり。
- 治療は十人十色：費用・期間・方法は患者さんの状態に合わせて。まずは専門医の診断を受けましょう。
当院では、歯並び無料矯正相談（カウンセリング）を行っています。
「自分の歯の状態は治療した方がいいのか」「まだ治療をするか決まっていない」「費用を確認してから検討したい」などお考えの方もお気軽にお問い合わせください。
無料相談のお問い合わせはこちらからよろしくお願いいたします。
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