コラム
年齢による矯正治療の進め方の違い
1. はじめに:年齢による矯正治療の違い
矯正治療は、単に「歯並びを整える」だけでなく、咬合(噛み合わせ)や口元のバランス、将来の健康まで視野に入れた総合的なアプローチ。特に「顎の成長が止まった成人」と「成長途中の子ども」では、治療期間も経過観察の方法も大きく異なります。以下にわかりやすく整理してご紹介します。
2. 成人矯正:顎の成長が止まった後の治療
2-1. 治療期間の目安
- 程度や難易度:軽度であれば1年半~2年、難症例や外科矯正が必要な場合は2年半~3年超になることもあります。
- 装置タイプ:マルチブラケット(ワイヤー)の他、目立ちにくい“舌側矯正”や“マウスピース矯正(インビザラインなど)”があります。装置により治療期間が若干変動します。
2-2. 主な治療ステップ
- 初診・カウンセリング:歯型、レントゲン撮影、写真による診断します
- 治療計画の提案:抜歯の必要性、装置の種類、期間、費用などを確認します
- 装置装着:ブラケット装着やアライナーをおわたしして矯正治療がスタートします
- 調整・経過観察:月1回程度の通院でワイヤー交換や調整を実施します
- 保定装置(リテーナー)へ移行:歯が定位置に落ち着いた後、リテーナーへ切り替えして保定します
2-3. 治療後の経過観察期間
- 第一段階(装置除去後):リテーナー装着をメインに、最初の1〜2年は1か月〜6カ月毎に通院します。
- 第二段階(安定期):2年以上経過後は通院頻度が徐々に減り、半年〜1年に1度のチェックになります。
- メンテナンス:歯科医院での定期検診(6か月〜1年ごと)が推奨され、歯周病や虫歯リスクの検診します。
3. 小児矯正:成長期を活用した治療
3-1. 治療期間の目安
小児矯正は一般的に**第1期(骨格・顎系コントロール)と第2期(永久歯列の歯並び調整)**に分かれます。
- 第1期治療:6歳~8歳前後開始、骨格や顎の位置を整える。治療期間は1〜2年程度。
- 観察期間:第1期と第2期の間に数年の経過観察を挿入し、成長の進行に応じて再診します。
- 第2期治療:永久歯がある程度そろってきたら開始。ブラケット矯正やマウスピース矯正を用い、1年~2年程度治療します。
- 合計治療期間:第1期+観察+第2期で、およそ3~5年またはそれ以上かかるケースもあります。
3-2. 主な治療ステップ
- 初診・相談:顔貌撮影、模型印象、X線撮影で骨格・歯列関係を診断します
- 第1期治療:必要に応じて拡大床、ヘッドギア、フェイスマスクなどを使用し、骨格バランスを整えます。
- 成長観察:顎や顔の成長に合わせて、半年~1年に1回程度のチェックを行います。
- 第2期治療:永久歯が生えそろったら、ブラケット治療、ワイヤー調整、マウスピース治療に移行して治療します。
- 保定:治療終了後はリテーナーで歯並びを安定させ、経過観察(半年~1年に1回)をします。
3-3. 治療後の経過観察
- 第2期終了後の1~2年:リテーナーの装着と並行しながら、2週間~1ヵ月毎の定期診察が続きます。
- 安定期移行後:通院頻度は徐々に半年~1年に1回となり、特に定期検診で虫歯・歯周病リスクもケアされます。
4. 成長期矯正と成人矯正の比較
項目 | 小児矯正(成長期) | 成人矯正 |
---|---|---|
治療開始時期 | 6~12歳ごろ | 18歳以上(顎の成長停止後) |
期間 | 3~5年(第1期+観察+第2期) | 平均1.5~3年(難症例はもっと長く) |
骨格・顎への対応 | 成長期の柔軟性を活かして効果的に治療 | 骨の成長が止まっているため、歯の移動・外科矯正に頼る |
通院頻度 | 第1期は2~3カ月ごと、観察期間中のみ通院少なめ、第2期は月1回程度 | 月1回程度の調整+保定後は半年~年1回 |
費用 | 第1期・第2期・保定の合算。成長期治療がリーズナブルなケースもあり | 抜歯・外科併用・装置によって数十万~百万円超もあり |
メリット | 外科を避けやすい/将来の顎関節痛や歯列崩壊リスク軽減 | 大人でも審美・機能面の改善が可能。再治療なし |
デメリット | 治療期間が長く、子どもの協力度に左右される | 骨格が硬くなっているため、治療に限界がある。外科治療が必要な場合も |
5. 経過観察の大切さ
矯正治療は終わって「終わり」ではありません。 「治療後の顔貌・咬合の安定をいかに確保するか」 が非常に重要で、特に成人では歯列崩壊のリスクが高いため、以下のような対応が不可欠です:
- リテーナー生活期間を守ること
取り外し型のリテーナーは、装着し忘れや紛失などで歯が元に戻りやすく、1年目は毎日・2年目以降も就寝時などは必ず装着してください。 - 定期的な歯科検診
特に成人は虫歯や歯周病のリスクが高く、リテーナー管理も含め、半年~1年に1回のチェックが必要です。 - 生活習慣のケア
歯ぎしり・食いしばり・姿勢など、再度歯列に負担をかける癖があると、後戻りや顎関節症リスクが高まります。
6. まとめ:生活ステージに応じた選択を
- 子どもの治療:骨格発達に合わせた第一期、第ニ期治療をセットで行い、合計3~5年。治療後はリテーナーの装着と定期検診。
- 大人の治療:顎の成長が終了しているため歯のみ移動し、平均1.5~3年。抜歯や外科的アプローチが必要な場合も。治療後は保定リテーナーと定期メンテが不可欠です。
ご家族での相談や将来設計にも矯正は大きな影響を与えます。まずは専門医のカウンセリングで、ご自身・お子さんの適切な治療ステップや費用、期間を把握することが成功への第一歩です。
当院では、歯並び無料矯正相談(カウンセリング)を行っています。
「自分の歯の状態は治療した方がいいのか」「まだ治療をするか決まっていない」「費用を確認してから検討したい」などお考えの方もお気軽にお問い合わせください。
無料相談のお問い合わせはこちらからよろしくお願いいたします。
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